あるところに２人の社長がいました。彼らはとてもよく似ていました。２人とも５年前に起業して自分の会社を作りました。同じ業界で同じような商品を売りながらも良いライバルとして関係は続き、今では売上も同じくらいの規模の会社に成長していました。２人とも一見とても順調そうに見えました。しかし、、、

彼らには大きな違いもありました。同じ売上にもかかわらず、一方の社長の会社には月末の支払いを済ませると、なぜかいつも利益が残らず、毎月のように資金繰りに追われていました。時には赤字になることもめずらしいことではありません。

もう一方の社長の会社はあらゆる経費を支払っても十分な利益を残していました。そのため、景気など多少の外部環境の変化で売上が落ち込んだとしても十分に耐えれるだけの社内留保資金を持ち、常に余裕を持って経営を行うことができています。

なぜ同じ売上なのにこのような違いが生まれたのでしょうか？

それはもちろん、売っている商品の違いでも業界の違いでもありません。起業した時点で一方に借金があったり、一方の商品のコストが大きくかかっていたわけでもありません。それは顧客との間に信頼関係、つまり「ブランド」を作ってきたかそうでないかの違いだったのです。

顧客からの信頼があれば、多少値段が他より高くても、彼らはあなたから継続して商品を買ってくれます。どんなにあなたの競合の商品が値引きで攻勢を仕掛けてきても、彼らはそちらの商品に鞍替えすることはありません。もちろん、たまには競合の安い商品に釣られて行く顧客もいますが、値引きをしてまでそんな顧客を無理に引き留めることはありません。なぜなら、そんなことをすれば、遅かれ早かれ、価格競争に陥って利益が出なくなることが分かっているからです。

そもそもそんなことをしなくても、信頼関係のできている顧客からは新しい顧客を紹介してくれます。既存客の紹介で来た新規客は、値引きなどの要求をすることもなく、あなたとの取引をスムーズに開始してくれます。

紹介からの新規客が多いので、最もコストがかかる新規客の開拓をわざわざ進んでする必要もありません。もちろん、新規客を開拓するために新たな人員を採用する必要もありません。

このように、顧客の信頼を獲得し、あなたの会社や商品がブランドになった結果、少ない労力とコストで安定した売上を上げ、そして利益を最大化させる「売り込み不要の仕組み」ができあがっているのです。

では、どうすれば個人事業、中小企業でもブランド化できるのか？

実は、ブランディング戦略は大企業や老舗企業だけのものではないどころか、スタートしたばかりの企業にこそ必要な戦略と言っていいでしょう。なぜなら、今からブランド作りをするかしないかで、数年後には大きな違いが生まれてくるからです。

もちろん、顧客との信頼関係を築いていくわけですから、今日から始めて明日出来上がる、なんていうものではありません。それなりの時間をかける必要があるでしょう。ただし、最適な手段を取ればその時間を大きく短縮させることは可能です。そして、中小企業が最短でブランド化するための効果的な戦術を公開しているのがこの本『ダン・S・ケネディの妥協なく売るためのブランディング戦術23』です。