ザッポスという会社をご存知でしょうか?
ザッポスはアマゾンに買収されたことで有名なのですが、この会社は靴のネット通販で大成功を収め、10年足らずで年商1000億にまで急成長した会社です。アメリカの靴ネット通販市場で3分の1のシェアを獲得し、この大不況の中、 前年比50%増の成長を記録している奇跡の会社です。
信じられますか?
靴のネットショップというなんともありふれたビジネスが年商1000億円の企業になったのです。
この急成長の秘密は顧客満足度がとても高く、通販なのにリッツカールトンやディズニーランドレベルの顧客サービスを実現していることにあります。それだけでなく社員満足度も異常に高く働きたい人が募集枠を求めて 空きが出るのを待っているそうです。社員全員が幸せだからこそ顧客にも幸せを届けることができるというわけです。
そのザッポスのCEOトニーシェイがザッポスの社員全員に一冊ずつ持たせているという本がこの「ザ・ピーク」です。
トニー・シェイ(ザッポスCEO)
もし、あなたが堅固なブランドや、ビジネスを築きたいと思っているなら、本書を読むことは、そのための最高の投資の1つだ。
ザッポスでは、全従業員に本書を1冊ずつ与えている。
良い企業文化を築きさえすれば、ブランドは構築され、素晴らしいサービスが可能になり、熱心な社員や顧客と出会うことができる。
チップ・コンリーも私も、「幸福追求の科学」をビジネスや日常生活に取り入れている。企業ブランドと企業文化は同じコインの裏表なのだ。
有名な心理学者、アブラハム・マズローは人のモチベーションについて
「人間は欲求の動物であり、完全に満足した状態は短期間しか続かない。ある欲求が満たされれば、別の欲求が湧き上がる。満たされた欲求は行動のモチベーションとはならない。」
と言いました。
そしてこうも言っています。
「人間の基本的欲求は睡眠や食などの生理的欲求であり、人間はその時点で満たされていない最下層の欲求を満足させることに集中する。」
人は常に欲求を満たすために行動しています。従ってモチベーションを上げるには、その人が「今、何に飢えているか」という欲求を理解することが何より重要です。 欲求に結びつかない行動はモチベーションになりません。ですので、人のモチベーションを上げるにはその人の欲求を理解し、欲求が満たされるように行動させる必要があります。
著者のチップ・コンリーはこのマズローの理論をビジネスに応用して、しがないホテルを世界第2位のブティックホテルチェーンに成長させました。今や彼のホテルチェーン、ジョワ・ド・ヴィーブルグループの年商は 2億5000万ドルでアメリカでは彼のホテルを知らない人はいません。
会社に関わる全ての人の欲求を明らかにし、
自動的にモチベーションを上げる「システム」を作る本
チップ・コンリーが着目したのは人が持つ心の欲求です。社員、顧客、投資家、ビジネスパートナーなど、会社に関わるありとあらゆる人間の欲求を役割ごとに整理し、その中で彼らのモチベーションの元になっている「真の欲求」を巧みに操る事で全員が幸せで満足できる会社を作ることに成功したのです。
本のタイトルにもなっている「ピーク」とは人間の欲求が全て満たされた後に辿りつく最高にパフォーマンスを発揮できる状態のことです。つまり、チップは社員、顧客、投資家、ビジネスパートナー全員がお互いモチベーションを自動的に高め合い「ピーク」状態に至る「システム」を作り上げたわけです。
そして2010年、彼のホテル、ジョワ・ド・ヴィーブルはマーケットメトリクスというアメリカで最も大きなホテルの格付け機関が行った14万人以上への顧客アンケートの結果、マリオット、ヒルトン、ハイアット、シェラトン、ウェスティンなどの一流ホテルを打ち負かして、全米カスタマーサービス部門で1位に輝いています。
この本「ザ・ピーク」はそこらにいる大学教授やコンサルタントが書いた本ではありません。チップ・コンリー本人が実際に何十という会社を経営し、何千人という従業員を率いて創り上げた、そのピーク・システムを作る方法を書き記した究極の一冊です。ですので、実際に使えるノウハウや、解決策などが満載の使える実践書というわけです。
ではこの本の中身は、、、
序文................................................................4
新版へのまえがき..............................................6
まえがき..........................................................8
PART1 マズローと私
Chapter 1 ビジネスの極寒期にマズローと出会う...........12
Chapter 2 有形なものから無形なものへ.......................27
Chapter 3 人間関係の構築と維持こそ企業の要だ...........42
PART2 人間関係の真実1 ─ 従業員ピラミッド
Chapter 4 社員をがっちりつかむ会社の価値観..............56
Chapter 5 忠誠心を高める「承認文化」.......................74
Chapter 6 イノベーションからインスピレーションへ.....92
PART3 人間関係の真実2 ─ 顧客ピラミッド
Chapter 7 激変する「顧客の満足内容」の先を行く......116
Chapter 8 テクノロジーと人間的ふれあいの合体.........139
Chapter 9 “熱烈なごひいき客”をつくり出そう............158
PART4 人間関係の真実3 ─ 投資家ピラミッド
Chapter 10 人間性理解が商取引の連携のカギ.............188
Chapter 11 互いが尊重しあう固い信頼関係へ.............206
Chapter 12 企業目的を重視するレガシー投資家..........220
PART5「真理」を「行動」に 移すとき
Chapter 13 「ジョワ・ド・ヴィーブルのハート」.......236
Chapter 14 ピークを体験して自己実現を目指そう.......252
謝 辞...............................................................267
などなど、人を動かす秘訣、そしてノウハウが盛りだくさんです。
この本を読み終わるころには、あなたは他人のモチベーションをコントロールする方法を知り、勝手に人が動くシステムを作ることができるでしょう。
それでもあなたはこう思うかもしれません。
そもそも自分の会社は人数も少ないし使えないんじゃないの?
と。
実際のところ使えるか使えないかはあなた次第でしょう・・・
もしあなたがどうせ変わらないだろうと、最初から諦めていれば何をやっても上手くいかないでしょう。
しかし、この本「ザ・ピーク」に書かれているテクニックはチップ・コンリーがしがない地方のホテルの経営者だった頃から実践してきた内容も含まれています。それに特筆すべきはありふれた靴のネットショップを1000億円企業に成長させ、アマゾンに買収されるほどになったザッポスのCEOもその効果を証明していることです。
ですので、あなたが本気で顧客を満足させ、働く人も満足させ、関わる人全員が満足するモチベーションの高い成功する会社にしたいと思うなら、この本の中に書いてあるテクニックは宝の山に見えるでしょう。
一人でできる仕事の量には限界があります。この壁を超えるには人を使うしかありません。しかし、人を使うと必ずモチベーションの問題に突き当たります。他人は自分とは違うからです。モチベーションの低い社員をなんとか使える人材にしようとして、悪戦苦闘した挙句、結局挫折する経営者や管理職の人はたくさんいます。
しかし、このピーク・システムを作り出すことができればその悩みがなくなります。モチベーションの低い人は会社からいなくなり、関わる人全員が一丸となって楽しくイキイキとより良い会社にするために動き出します。
モチベーションを上げれば社員の意識が変わります。
社員の意識が変われば顧客の満足度が変わります。
顧客の満足度が変われば会社の売上のケタが変わります。
そしてこの本は会社に関わる人のモチベーションを変える「システム」を作るための極めて中身の濃い一冊です。
ジョワ・ド・ヴィーヴルのハートマークが好きだ。
情熱的な企業文化が幸福な従業員を育て、それが顧客の満足につながり、高収益で持続的なビジネスを生み出す構図を説明しているからだ。
リチャード・ブランソン(ヴァージン・グループ会長)
チップ・コンリー
世界第2位のブティックホテルチェーン、ジョワ・ド・ヴィーヴル創業者。スタンフォード大学卒業後、同校でMBAを取得。投資銀行、不動産デベロッパーを経て、26歳でジョワ・ド・ヴィーヴルを設立。 2度の経営危機を乗り越え、マズロー心理学を活用した現在の経営スタイルを確立した。モチベーションの高い組織と顧客や株主との強い絆を武器に、リーマンショック後の不況下でも好調を維持している。 同グループは現在、40を超えるホテル、レストラン、スパを保有、数々の賞を獲得している。独特の経営スタイルが全米で注目を集め、ザッポスCEOのトニー・シェイほかアメリカの有名経営者に強く支持されている。 著書に『The Rebel Rules』『Marketing That Matters』。サンフランシスコ在住。