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ハーバード・ビジネススクールの<人間行動学>講義
ハーバード・ビジネススクールの<人間行動学>講義
著者:ポール・R.ローレンス,ニティン・ノーリア
絶版





商品の説明

 それは、今から何十年も前のことです。アメリカのシカゴ大学とYMCAスクールは「国民が何に興味を持っているか?」について、2年間にもわたる大規模な調査を行いました。その結果によると、1位は「健康」、そして2位は「どうすれば相手の気持ちを理解し、うまく付き合うことができるのか?どうすれば自分の考えを理解してもらえるのか?どうすれば自分の思うような方向に動かすことができるのか?」ということでした。

あれから数十年経った今、日本で同じ調査を行ったとしても、おそらく同じような結果になることは目に見えています。なぜなら、時代や人種に関係なく、私達は他の人との関わりなしに生きていくことはできず、それだけに、いつでも人間関係に悩まされているからです。そして、もしあなたが会社を経営しているなら、「どうすれば人を動かすことができるのか?」ということはとりわけ重要な問題ではないでしょうか?

  • 顧客にもっと自分の会社の商品やサービスを買ってもらいたい・・・
  • 自分がいなくても社員が社長の考えを理解し、勝手に動いて売上を上げるようになって欲しい・・・
  • 取引業者から、できるだけ良い条件で良いサービスを受けたい・・・

などなど、あなたの仕事はすべて人を動かすことであるといってもいいでしょう。にもかかわらず、彼らはなかなかあなたの思うように動いてはくれません。いったい、どうすれば彼らにあなたの思うような方向に動いてもらうことができるのでしょうか?

どうすれば人を動かすことができるのか?

 その秘訣について、アメリカの心理学者オーヴァストリート教授はかつてこう言いました。

「人間の行動は、心の中の欲求から生まれる…だから、人を動かす最善の方法は、まず、相手の心の中に強い欲求を起こさせることである。商売においても、家庭、学校においても、あるいは政治においても、人を動かそうとする者は、このことをよく覚えておく必要がある。これをやれる人は、万人の支持を得ることに成功し、やれない人は、一人の支持者を得ることにも失敗する」

なるほど…その通りだと思います。とは言え、では「いったい何が相手の心の中に強い欲求を起こすのか?」それが私たちの知りたいところですよね?おそらくそれは、食欲とか睡眠欲とか性欲といった動物的な本能によるものではないはずです(そもそも、ビジネスで使える場面が少なすぎます…)。そこには、社会文明を作り上げながら生き残ってきた人間独自の、本質的でありながらも高度な欲求があるはずです。では、それは何か?

人間が逆らうことのできない4つの衝動

 実は、この問題に長年取り組んできたのがハーバード・ビジネススクールの人間行動学の専門家ポール・ローレンスと学長のニティン・ノーリアの2人でした。彼らは学問の境界を飛び越え、生物学の観点から「なぜ人は行動するのか?」そして「人を突き動かすものの正体は何か?」を長年にわたって徹底的に研究してきました。そして、ついに人間を突き動かしているのはたった4つの欲求であることを突き止めました。彼らはそれを「人間の4つの衝動」と呼んでいます。

彼らの研究によると、まず人はみな強い「獲得衝動」を持っていて、モノや経験を獲得することで他人よりも高いステータスを得ようとします。これが人類を進化させ、経済や文化を発展させてきた人間の行動の原動力になっているのは間違いないのですが、実は人間には他にも3つの根本的な衝動を持っているのです。それは・・・

互いに相手を気遣いながら長期的に親密な関係を築きたいという「親和衝動」、新しいことを学び、世界や自分自身についての理解を深めたいという「学習衝動」、そして、自分自身や家族、信念や財産に危害を加えるものから守りたいという「防衛衝動」です。

人間はこの4つの衝動に逆らえず、それらを満たさずにはいられません。なぜなら、この4つの衝動は人間が生き残りのために進化をする過程で、遺伝子に刻み込まれた本能的な欲求だからです。さらに興味深いのは、人間はこれら4つの衝動を人生全体を通して満たそうとし、この4つのうちたった1つでも満たされないと充実感を得られることは決してないということです。事実、失敗している商品やサービス、会社や人事制度は、これらのどれかひとつしか満たしていなかったり、あるいはどれかひとつが欠けていることが研究の中で分かっています。

相手が勝手に動き出す?

 ですから、もしあなたが、あなたの商品やサービス、会社や職場環境を通して、相手のこの4つの衝動を満たしてあげることができれば・・・

  • お客さんはあなたの商品をついつい買いたくなり、そして継続して購入してくれるようになるでしょう
  • こちらから指示を出さなくても、社員が勝手に動いて成果を上げてくれるようになるでしょう
  • 取引先はあなたの会社を特別扱いし、積極的に良い条件を出してくれるようになるでしょう

そう、あなたはそれだけで面倒な交渉や説得をすることなく、相手は勝手にあなたの思う方向に動き出すようになります。つまり、周りに人に対する「無意識の影響力」を身につけ、多くの人の支持を得ることができるようになるのです。では、具体的にどうすれば、この4つの衝動をあなたのビジネスに生かすことができるのか?

それがこの本、『ハーバード・ビジネススクールの<人間行動学>講義』のテーマです。この本が他の人間行動学の本と違うのは、ただ単に人間の行動原則を解明するだけにとどまらず、それがどのようにビジネスや会社経営に影響を及ぼすか?という部分にまで掘り下げていることにあります。いかに顧客を引き付ける商品やサービスを提供できるか?どうすれば社員の能力を最大限に引き出すことができるのか?どうやって取引先とWin-Winの関係を築いていくことができるのか? などなど・・・これらはすべて、本書の中で明らかにされています。

目次

まえがき

序文


PART1 知の統合を目指して 人間の本質の理解への序論

Chapter1 包括的な人間観の追求

Chapter2 人間の心はどのように進化してきたのか 

Chapter3 生まれながらの衝動とスキル


PART2 人を突き動かす4つの衝動

Chapter4 獲得衝動(D1)

Chapter5 親和衝動(D2)

Chapter6 学習衝動(D3)

Chapter7 防衛衝動(D4) 


PART3 4大衝動の実態 具体的なコンテクストにおける人間の本質

Chapter8 文化、スキル、感情 新たなパズルのピース

Chapter9 「社会的動物」の誕生

Chapter10 多様性はどこから生まれるのか?


PART4 人間の本質と社会

Chapter11 職場生活における人間の本質

Chapter12 未来への展望 



〈後記〉未来への研究提案

著者略歴

著者紹介

ポール・R.ローレンス
ポール・R.ローレンス
ハーバード・ビジネス・スクールウォレス・ブレット・ドンハム記念組織行動学講座名誉教授
ミシガン出身。アルビオン・カレッジで社会学と経済学の学士課程を修了。ハーバード・ビジネス・スクールで組織行動学の修士号・博士号を取得。ハーバード・ビジネス・スクールではジョン・P・コッターと並んで、組織行動学の看板教授だった。組織における人間行動を科学的に探究することを旨とし、人間行動の観点からアプローチした1990年代のロシアの変革を追った評論では定評がある。
「Organization and Environment」「Renewing American Industry」「Administering Changes」「Behind the Factory Walls:Decision Making in Soviet and U.S.Enterprises」など、共著も含む26冊の著作を発表した。

ニティン・ノーリア
ニティン・ノーリア
ハーバード・ビジネススクール学長。
インド工科大学ボンベイ校で化学工学の学士号を取得した後、マサチューセッツ工科大学スローン・スクールで経営学博士号を取得。1988年よりハーバード・ビジネススクールで教鞭を執る。リーダーシップ、企業刷新、組織変革を専門に研究。企業の現場でインタビューを行いながら、経営の実態を踏まえた鋭い論文を発表し、多くの経営者に影響を与えている。75編以上の論文と、ジョージ・R.テリー賞を受賞した「The Differentiated Network」を含む16冊の共著者・共編著書を発表している。
現在、ハーバード・ビジネススクール学長として、同スクールの教育改革に熱心に取り組んでいる。